ドローン国家資格 一等と二等の違い・費用相場・取得までの流れ
最終更新:2026年10月31日(国土交通省・指定試験機関・各スクール公式を同日確認)

この記事の調べ方:2026年10月31日に、国土交通省・指定試験機関(日本海事協会)の公開ページと、関東のスクール7校の公式料金ページを読み比べてまとめました。講習の受講や説明会での聞き取りはしていません。金額は確認日時点のもので、確認できなかった項目は「公式で要確認」としています。
2022年12月に始まった「無人航空機操縦者技能証明」は、ドローンの操縦に必要な知識と能力を国が証明する制度です。等級は一等と二等の2つ。どちらを取るかで、できる飛行の範囲も、かかる費用も大きく変わります。この記事では、国土交通省と指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)が公開している情報を出典に、違い・費用・流れを順番に整理します。
そもそも国家資格は必須か
最初に押さえておきたいのは、国土交通省が「技能証明の取得は無人航空機の飛行において必須事項ではない」と明記している点です。資格がなくても、飛行許可・承認の手続きを踏めば飛ばせる飛行はあります。
それでも社会人が資格を取りに行く理由は、大きく2つあります。ひとつは、一定の条件下で国への飛行許可・承認の申請を不要にできる飛行があること。もうひとつは、第三者の上空を飛ぶいわゆるレベル4飛行(カテゴリーIII)には一等が欠かせないことです。業務でドローンを使う場面が広がるなか、技能を客観的に示す手段として国家資格を求める取引先が増えることも考えられます(この点は業界や案件によって異なるので、就職・受注を目的にする人は、相手先の要件を個別に確認してください)。
一等と二等の違い:飛行カテゴリーで考える
国土交通省は、リスクに応じて飛行を3つのカテゴリーに分けています。資格の違いは、このカテゴリーと結びつけると理解しやすくなります。
| カテゴリー | どんな飛行か | 許可・承認 | 資格との関係 |
|---|---|---|---|
| I | 特定飛行に該当しない飛行 | 不要 | 資格は不要 |
| II(申請が必要なもの) | 立入管理措置を講じたうえで、空港周辺・150m以上・催し場所上空・危険物輸送・物件投下・25kg以上の機体など | 必要 | 資格の有無にかかわらず許可・承認が必要 |
| II(申請不要にできるもの) | 立入管理措置を講じたうえで、人口集中地区上空・夜間・目視外・人や物件から30m未満(機体25kg未満) | 条件を満たせば不要 | 技能証明を受けた者が、機体認証を受けた機体で、飛行マニュアルを作成して飛ばす場合 |
| III | 立入管理措置を講じずに第三者上空で行う特定飛行(レベル4を含む) | 必要 | 一等の技能証明+第一種機体認証+運航管理の確認などが必要 |
出典:国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」(2026-10-31確認)
つまり、一等は「カテゴリーIIIまで扱える資格」、二等は「カテゴリーIIの範囲で手続きを簡素にできる資格」と整理できます。補助者の配置や立入禁止区画の設定などで立入管理措置を講じられる業務であれば、カテゴリーIIの範囲に収まるため、まず二等を取得し、第三者上空の飛行が必要になった段階で一等を検討する、という順番が考えやすいでしょう。自分の業務がどのカテゴリーにあたるかは、国土交通省の案内で確認してください。
なお、カテゴリーIIで申請を不要にするには、資格だけでなく「機体認証を受けた機体」と「飛行マニュアル」もそろえる必要があります。資格を取れば何でも自由に飛ばせる、というわけではない点に注意してください。
試験の難易度の違い
指定試験機関の案内では、学科試験はどちらも三肢択一式です。二等は50問・30分、一等は70問・75分で、合格に必要な正答率の目安は二等が80%程度、一等が90%程度とされています(問題改定後も同程度になるよう統計的に設定され、多少変動しうるとの注記あり)。実地試験も一等のほうが基準が厳しく、身体検査も一等は医師または医療機関での受検が必要です。
限定変更(夜間・目視外・25kg以上)
技能証明は、取得しただけだと「昼間・目視内・25kg未満」の範囲に限定されます。夜間飛行・目視外飛行・25kg以上の機体を扱うには「限定変更」が必要です。国土交通省のポータルによれば、限定変更は次のような内容で、新規申請時からまとめて行うこともできます。
- 操縦する機体の種類(マルチローター/ヘリコプター/飛行機)の追加
- 最大離陸重量の拡大(25kg以上)
- 昼間に加えて夜間飛行
- 目視内に加えて目視外飛行
スクールでは、この限定変更が「オプション講習」として別料金になっていることが多く、たとえば楽天ドローンアカデミーは目視内限定変更45,000円・昼間限定変更33,000円(税込)、ドローンスクール東京とドローンスクール横浜鴨居は二等の目視外・夜間が各35,000円(税込)、一等では目視外120,000円・夜間40,000円としています(2026年11月1日確認)。夜間の点検や目視外の測量を予定しているなら、基本コースの価格だけで比べないようにしましょう。
取得までの5ステップ
国土交通省の「無人航空機レベル4飛行ポータルサイト」が示す流れを、スクールに通う前提で整理すると次のとおりです。
- 費用を確認する
講習受講費用(スクール)、受験申請費用(指定試験機関)、交付申請費用(国土交通省)の3つがかかります。 - 本人確認をして「技能証明申請者番号」を取る
原則オンライン。この番号でスクールの受講申請や試験の受験申請を行います。スクールによっては受講条件にこの番号の取得を挙げています。 - 登録講習機関で学科・実地講習を受ける
修了審査に合格すると、指定試験機関での実地試験が免除されます。 - 指定試験機関で学科試験・身体検査を受ける
スクール修了者は実地試験が免除されるため、学科と身体検査が中心です。スクールに通わない場合は実地試験も受けます(学科合格が前提)。 - 国土交通省へ交付申請する
原則オンライン(DIPS2.0)。技能証明書は郵送で届きます。
出典:国土交通省 無人航空機レベル4飛行ポータルサイト「技能証明」(2026-10-31確認)
費用の内訳:国に払うお金とスクールに払うお金
費用は「指定試験機関に払う手数料」「国土交通省に払う交付手数料」「スクールの受講料」の3層構造です。前の2つは全国共通なので、ここで金額を確認しておきます。
| 項目 | 二等 | 一等 |
|---|---|---|
| 学科試験 | 8,800円 | 9,900円 |
| 実地試験(マルチローター・基本)※スクール修了者は免除 | 20,400円 | 22,200円 |
| 身体検査 | 書類での受検 5,200円/会場での受検 19,900円(一等は医師・医療機関での受検が必要) | |
| 交付手数料(国土交通省) | 公式で要確認(国交省の手数料額一覧PDFに掲載) | |
| 登録免許税 | なし | 3,000円 |
出典:日本海事協会「技能証明試験の種別・手数料」(いずれも非課税)、国交省レベル4ポータル、国交省「無人航空機操縦者技能証明」(2026-10-31確認)
スクールに通って二等を取る場合、国側に払う費用は学科8,800円+身体検査5,200円(書類受検の場合)=14,000円に、交付手数料を足した額が目安です。これにスクールの受講料が加わります。
関東のスクール受講料の幅
当サイトが2026年10月31日に公式サイトで確認できた、関東のスクールの通常価格(税込)は次の範囲でした。詳しい内訳はトップの比較表を見てください。
- 二等・初学者:272,800円(秋葉原ドローンスクール 屋外時短)〜352,000円(同 屋外通常)。楽天ドローンアカデミー288,000円、DSCドローンスクール千葉283,800円、ドローンスクール東京300,000円など、おおむね27万〜35万円台に集まっています。
- 二等・経験者:100,000円(ドローンスクール東京)〜165,000円(秋葉原ドローンスクール)。楽天ドローンアカデミーは128,000円。
- 一等:楽天ドローンアカデミーの初学者698,000円・経験者288,000円、ドローンスクール東京の二等取得者向け400,000円、秋葉原ドローンスクールの経験者407,000円など。前提条件がコースごとに違うため、単純比較はできません。
二等を初学者コースで取る場合の総額の目安は、受講料27万〜35万円台+国側の費用1.4万円程度+交付手数料、となります。限定変更(夜間・目視外)を付ければさらに数万円〜十数万円が上乗せされます。
給付金・助成金について:ドローンスクール東京は個人向けに教育訓練給付金(講習費50%軽減)、法人向けに人材開発支援助成金(講習費75%助成)の案内を、楽天ドローンアカデミーも同様の制度の案内ページを設けています。対象講座かどうか、自分が支給要件を満たすかは、スクールとハローワーク等の公的窓口で個別に確認してください。
取得後:有効期間と更新
技能証明の有効期間は3年です。更新の申請は、有効期間満了日の6か月前から1か月前までに行う必要があります(国土交通省)。更新には登録更新講習機関での講習と、身体適性の確認が求められます。更新講習の料金はスクールにより異なり、たとえばドローンスクール東京は一等・二等とも通常33,000円(税込)と掲載しています。取得時の費用だけでなく、3年ごとの更新費用も見込んでおくと計画が立てやすくなります。
どちらを選ぶかの考え方
判断の軸は「どの飛行をする予定があるか」です。
- 副業で空撮・点検を始めたい/社内の業務でまず資格を取りたい:多くはカテゴリーIIの範囲で足りるため、二等+必要な限定変更から検討するのが現実的です。
- 物流・警備など第三者上空の飛行が前提の業務:カテゴリーIIIには一等が必要です。ただし一等だけでなく、機体認証や運航管理の体制も求められるため、所属先・発注先と要件を確認しましょう。
- 民間資格(JUIDA・DPAなど)をすでに持っている:多くのスクールで経験者コースの対象になり、費用を抑えられる可能性があります。民間資格との違いはチェックリストの記事で解説しています。
いずれの場合も、申し込み前に無料説明会や体験会で、総額・日程・再審査の費用を確認するのがおすすめです。